2019-2020に食品事業者がしなけらばいけない4つのこと
目次
今年から来年にかけてのスケジュール
世間が改元だのオリンピックだのと盛り上がっている間に、私たち食品事業者にとって避けて通れない、とても大きな法改正がじわじわと迫ってきています。
知らなかったでは済まされないのが法律で、しっかり理解していないと違法業者のレッテルを貼られ、明日の事業の継続に黄信号が点ってしまう可能性を孕んでいます。
ですから、まだ時間があると先延ばしするのではなく、すでに決まっているスケジュールを先回りして余裕のある対応を心掛けましょう。
食品事業者に課せられた4つのタスク
- (2019.10) 消費税増税と軽減税率のスタート
- (2019.10) キャッシュレス・ポイント還元スタート
- (2020.04) 食品表示が新基準へ完全移行
- (2020.06) HACCP義務化(2021.06まで猶予期間)
大切なことは1つづつ確実に終わらせる。
前で見たように、取り組みが大きい割には残された時間が少なく、それぞれの締切の間隔もかなり近くなっています。
また後ろの課題ほど時間をかけるべきものとなっていますので、まだ数ヶ月あるから大丈夫というのではなく、目前の課題をなるべく早く済まして次の課題に取り掛かりましょう。
それぞれの困難な課題をスっとやり過ごすためのヒント
軽減税率対策
酒類などの一部を除いて食料品全般は8%に据え置かれ、食品以外の商品やサービスは10%に増税されます。両方の税率の商品を扱う業者、例えば「テイクアウトもやっている飲食店」「ケーキ屋、パン屋などがキャンドルやギフトボックスを別売りしていたり、手作り雑貨などを扱っている」「食料品と食料品以外の商品を小売している」お店は複数税率となり、レジの改修や購入が必要となります。
現在、「軽減税率対策補助金」が用意され、購入費用の3/4がかえってきますので該当事業者にとってはまたとないチャンスです。(支払いが9月中に終了している必要がありますので、クレジットカードなどで決済する予定の方は8月中に購入する必要がありますのでお急ぎください。)
今後5年程度でさらに大きな税制の改革も計画されていますので、今現在買い替えの必要性を感じていない方も、詳細なデータを取得できるPOSレジを導入することを強くお勧めします。
おすすめのレジシステムなどは、後日改めて記事にする予定です。
キャッシュレス対策
PayPayなどのQR決済が急速に広がっていますので、各社が端末のプレゼントキャンペーンをしているこの時期に導入することが得策と考えます。かなりの数のサービスが名乗りを上げていますので、こちらも代表的なサービスの特徴は後日紹介させていただく予定です。
10月からの消費税増税の際に、キャッシュレス決済ポイント還元事業が始まります。お買い物時に還元事業者のお店でキャッシュレス決済すると、消費者に5%分がポイント還元されるというものです。
ここで言うポイント還元業者というのは、キャッシュレス決済を導入していればいいというものではなく、サービス提供業者を通じて還元業者として登録していないといけないのです。10月に始めるには7月中に登録しなくてはいけないとも言われていますので、まだどのサービスを利用するか決めていない方は急がないといけません。
食品表示対策
ケーキ屋さんの焼き菓子など個別包装している場合に必要な表示方法も大きく変わります。メインはアレルギー関連の表示です。
一般のお客様は「安心安全」というと自然由来の食材であったり、国内製造ということにこだわられる傾向にありますが、実際の食品関連の事故はアレルギー物質やノロウイルスに代表される食中毒菌による汚染が主なものです。
ですので、「お客様の食の安全を担保する」ということは「法に従って正しく表示する」ことが最も大事なことです。
食品表示の主な変更点
- アレルギー物質の表示ルールの変更(マヨネーズ→マヨネーズ(卵を含む、卵白→卵白(卵を含む)など)
- 原材料名と原材料に含まれる食品添加物を区分して表示
- 最も多く含まれる原材料にカッコ付で原産地もしくは製造地を表示
などです。早めにサンプルを作成して保健所にてご指導頂くのが確実でオススメです。
栄養成分表示について
実は同時にカロリーや塩分などの栄養成分表示も義務化されます。
ただしこちらは小規模事業者であるなどの場合免除になる事もありますので、ご自身の事業所が対象になるのかを早めに確認して、免除の場合はこの一連のタスクが一段落してからじっくりと取り組まれる方が良いでしょう。(消費者視線に立ちますと、免除であっても表示した方がベターであると思います。)
HACCPについて
HACCPとは日本語訳すると「危害要因分析と重要管理点」となり、衛生管理を『見える化』する事が主な目的となります。
よく、「冷蔵庫の温度チェックはやってるから大丈夫」とか「従業員の健康チェックはやってます」という声が聞かれますが、これらはあくまでどの事業所にも共通の『一般衛生管理』です。
HACCPではこの上に、各事業所特有の作業工程による衛生的な管理ポイントを作成することが必要です。
例)
- サラダ用(生食用)レタス→冷蔵庫の保管場所、保管状態
- チャーハン用(加熱用)レタス→加熱調理から提供までのルール作り(大量に作り置きしないなど)
衛生管理計画作成時には日本食品衛生協会ページに、各業界団体が公表している手引書が一覧となっていますので、参考にしてください。
HACCPによる衛生管理とは(公益社団法人日本食品衛生協会HP)
4つのタスクの中ではこのHACCPが全く新しい取り組みであり、時間のかかるものですから、上記三つの項目を出来るだけ早く済まして取り組みましょう。